2017年9月19日「環境影響評価審査会神鋼神戸製鉄所火力発電所部会の開催」に係る <部会審議終了後の概要説明について>に対する意見

「環境影響評価審査会神鋼神戸製鉄所火力発電所部会の開催」に係る

<部会審議終了後の概要説明について>に対する意見

 

 私たちは、829日付けで、兵庫県知事及び環境影響評価審査会長に対し、兵庫県環境影響評価審査会(以下、「審査会」という)神鋼神戸製鉄所火力発電所部会(以下、「部会」という)の公開、委員構成のあり方について、要請書を提出させていただきました。

 しかしながら、922日開催の部会について、審議を公開せず、部会審議終了後に概要説明を行うにとどめる、との記者発表が94日になされました。私たちは、このような措置は、「公開」とはほど遠い、極めて不充分な措置であると考えます。

 

 私たちは、上記要請書において、本事案に関する部会の審査について、

・今回の審議は、神戸市民とりわけ阪神間の深刻な大気汚染公害の被害者となった患者会の方をはじめ多くの市民が健康影響について合理的な懸念をもつ大規模石炭火力発電所の建設計画にかかるものであること

・事業者らと部会委員とのやりとりを、環境影響評価手続における当事者であり利害関係者(ステークホルダー)である関係地域に居住する県民が傍聴できないのは、審議内容が営業秘密にかかるものでもない以上、合理性がなく、適正手続の要請に背くものであること

・神戸製鋼の石炭火力についての神戸市の審査会は、審議の大部分が公開で審査されていること

兵庫県の附属機関等の設置及び運営指針によると、非公開事由にあたらないかぎり、会議は公開するよう努めるものとするとされていること

・上記指針の定める非公開事由にあたるとは思われないこと(該当すると部会が判断した場合には、非公開事由にあたることとその判断理由を示すべきこと)

などから、部会の審議の全部または一部を非公開とすることは、上記指針に適合しないばかりか、適正手続の理念、住民や専門家の参加のもとで事業の環境配慮を促すという環境影響評価制度の理念に背馳するものであるという理由で、部会の「公開」を要請しました。

 

これに対し、兵庫県は、部会を公開せず、「部会審議終了後の概要説明」にとどめると発表しました。このような判断に至った検討経過も理由も明らかにしていません。全く説明責任を放棄した、理不尽な措置と言わざるを得ません。

審議会、委員会の「公開」とは、傍聴(無形)と議事録(有形)が一体となってはじめて「公開」の名に値するものとなります。かかる傍聴を許さず、しかも定員制、メディアに対する事前登録制まで強いた一方的な「概要説明」では、なお「非公開」の範疇にとどまるものと考えます。議事録が公開されるとのことですが、12か月先では、報道機関・市民・専門家が適時に審議内容を知ることができません

94日の知事記者会見で、知事は、「部会を非公開としているのは、非常に技術的な議論を展開する場であり、どんな小さな場面についても議論していただく必要があることから、そのような意味では公開しなくても良いのではないかと部会自身が判断されているのかと思います」と説明されました。しかし、そのような部会の判断は、誤りです。「非常に技術的な議論」をする審議会は他にも多数あり、議論の技術性は、「兵庫県の附属機関等の設置及び運営指針」に定める非公開事由にあたりません。議論の技術性を理由に審議を非公開とすることは、県民の知る権利を侵害するものであり、また、兵庫県における審議会運営の透明性という点で将来に向けて大きな禍根を残します。

 何故、神戸市環境影響評価審査委員会が「公開」して進めている審査を兵庫県が部会審査において頑なに「非公開」で進めようとするのか、県民を置き去りにしたその審査の不透明さに疑念を持たざるを得ません。

 本事案は、広く県内・市内において熟議されるべき重大な地域の公害・環境問題であり、とりわけ8月以降、新聞報道も頻繁になされているところです。地域の重要問題が議論の対象であり、メディア・市民の関心も極めて高い本件の審査を、「公開」の場で行うことが正しいやり方だと考えます。

 

2017919

 

神戸公害患者と家族の会

西淀川公害患者と家族の会

公益財団法人 公害地域再生センター(あおぞら財団)

特定非営利活動法人 気候ネットワーク

神鋼石炭火力公害問題灘区連絡会

石炭火力発電所問題を考える市民ネットワーク

ひょうごECOクラブ

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