【抗議声明】神戸製鋼石炭火力発電所増設計画に係る工事着工に対する声明(2018/10/01)

神戸製鋼石炭火力発電所増設計画に係る工事着工に対する声明    

 

2018年10月1日

神戸の石炭火力発電を考える会

神戸製鋼石炭火力訴訟弁護団

神戸製鋼石炭火力公害調停弁護団

 

 本日、株式会社神戸製鋼所(以下「神戸製鋼」といいます)は、神戸市灘区において計画している石炭火力発電所である神戸発電所3・4号機(以下「新設発電所」といいます)の建設工事に着工したことを発表しました。この計画をめぐっては、多数の市民が、環境影響への懸念から、神戸製鋼に対し新設発電所の建設中止を要請してきました。こうした要請を無視し、新設発電所の着工に踏み切ったことに強く抗議します。

 石炭火力発電所は、たとえ最新型のものであっても、大量の大気汚染物質を排出します。また、とりわけ地球温暖化を加速化させるCO2排出が多い火力発電です。このようなものは、地球環境・地域環境、いずれの視点からも受け容れられないものです。

 計画地である神戸市南部は、過去に大気汚染による深刻な公害を経験し、現在も様々な大気汚染対策が国・自治体によって取り組まれています。このような地域に大気汚染物質の巨大な排出源となる新設発電所を増設することは到底認められません。公害裁判の被告企業でもある神戸製鋼が、再び地域住民の健康を脅かすことは、環境再生の取り組みに逆行するものです。

 また今夏、全国各地が過去の観測記録を超える高温、集中豪雨や洪水などの深刻な異常気象にみまわれ、地球温暖化との関係が指摘されているところですが、地球温暖化の原因となるCO2の大規模排出源である石炭火力発電所は世界的な問題となっています。にもかかわらず、新設発電所を増設し、年間約692万トンものCO2を排出することは、気候変動をさらに激甚化させ、地球環境に多大な影響を与えることにつながります。

 こうした重大な環境影響を事前に回避すべく、環境影響評価(環境アセス)を通じて多数の住民が反対の意見を表明してきたほか、昨年12月以降、合計481名もの市民が公害調停を提起して、大気汚染公害・温暖化をもたらす石炭火力発電所の新設を行わないよう一貫して求めてきました。しかしながら、神戸製鋼側においては、いまだ公害調停における協議が行われている中、また環境アセスでの各首長意見で求められた地域住民に対する丁寧な説明も履行しない中、調停での協議を無視し、工事着工の届出に踏み切りました。また、9月14日には、近隣地域に在住の31世帯の家族と子どもたちを含め40人の原告が、新設発電所の建設・稼働差し止めを求める訴訟を神戸地裁に提起したところですが、このように、住民が法的手続を通じて本計画に反対している最中に、神戸製鋼においては何ら計画の見直しを行わず、本日着工に踏み切りました。健康・環境への影響を懸念する市民の真摯な声、新設発電所による深刻な環境影響を何ら考慮しないまま一方的に事業を強行する姿勢は、事業者として到底許容されないものであり、着工に対して強く抗議します。

 新設発電所の稼働は、地球環境・地域環境を脅かし、現在・将来の世代に多大な影響を与えるものです。当会ならびに原告らは、現在・将来の環境を守るため、共にこの計画に声を上げる多数の市民とともに、裁判の内外を通じて引き続き新設発電所の建設と稼働の差し止めを強く求めていくことを表明するとともに、神戸製鋼に対して、改めて、計画の見直しを求めます。

以上  


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