【緊急抗議声明】神戸製鉄所火力発電所(仮称)設置計画に係る環境影響評価手続について 神戸製鋼と経済産業省が、 神戸市環境影響評価審査会の審議を無視して手続を進めることに強く抗議します

 2018年2月13日

【 緊 急 抗 議 声 明 】

神戸製鉄所火力発電所(仮称)設置計画に係る環境影響評価手続について、

神戸製鋼と経済産業省が、

神戸市環境影響評価審査会の審議を無視して手続を進めることに強く抗議します

 

神戸の石炭火力発電を考える会

 

1. 神戸市環境影響評価審査会において、神鋼のデータ改ざんを受けた検証結果の了承は見送りに

 2018年2月1日に開催された神戸市の第172回環境影響評価審査会では、本件準備書等で使用されたデータに対して行われた県・市における検証の結果についての報告、事業者が実施した自主検証結果について審議されました。神戸製鋼所のデータ改ざん問題を受けて実施されたこの検証においても、検証の結果、極めて多数のデータの「誤記入・転記ミス」が発見され(市審査会で145カ所、12月28日の県審査会では230カ所の指摘)、データ数値が修正されることとなりました。しかし、その理由について神戸製鋼所から合理的な説明がなされていません。

 さらに、神戸製鋼は、市の審査会前夜(1/31)に、突然、自主検証結果を大幅に修正する資料(資料28)を市当局に持ち込み、市・県のチェックもないままに審査会に提出しました。このように合理的な説明がないままに準備書データが次から次へと修正されることについて、審査会委員から様々な指摘・疑問が呈され、市審査会では「検証経緯の説明が不十分」であり、データの信頼性の確認ができないなどとして、予定していた審査会答申の審議延期を決定しました。

 準備書の環境影響評価の根拠となるデータについて、これほど多くの数値の修正が必要となったことは、昨年7月に公開した準備書がいかに杜撰(ずさん)な作りであったかを明らかにするものといえます。市民参加のプロセス終了後に市審査会からの指摘を受けて膨大な補足説明資料が提出されたこと、今回のデータ修正でつぎはぎされたことに鑑みると、本件準備書は、もはや“準備書”の体を為しておらず、信頼性はないと言わざるを得ません。

 

2.経済産業省は、市審査会の審議や首長意見の公表をまたずにアセス手続を進めてはならない

 しかしながら、神戸製鋼は、1月22日に開催された県の環境影響評価審査会における県・市の共同検証結果の報告を受けて、市審査会(2月1日)における自主検証結果の報告と了承を待たずに、1月24日に経済産業省に検証終了を報告したといいます。兵庫県、神戸市での共同検証が終了した後、自主検証結果の総括が終わっていないにもかかわらず、神戸製鋼が、市審査会の開催を待たずに拙速に経済産業省に検証終了の報告を行ったことは、事業のスケジュールのみを優先したものとしか考えられず、市審査会の存在意義を否定するものであって極めて不当な行為です。神戸製鋼は、経済産業省に対して行った検証完了の報告を直ちに撤回し、市審査会において自主検証結果が了承されてから改めてこれを行うことを強く要求します。

 また、経済産業省は、神戸製鋼からの検証完了の報告を受けて、2月1日の神戸市の審査会の審議を待たずに、1月29日に環境審査顧問会火力部会を開催しました。同省が、神戸市において自主検証結果の確認を終えていない段階で、神戸製鋼の完了報告を受けて、県や市に照会をすることもなく検証作業が完了したと認めて顧問会を招集したことは、市審査会の存在意義を否定するものであり、電力アセスの所管省庁として無責任な行為と言わざるを得ません。さらに、そもそも神戸市長・芦屋市長・兵庫県知事の意見も提出されていない段階で、経済産業省の顧問会が先行して審議を開始したことは環境影響評価法の趣旨に照らし著しく不適切です。これは、地元市民や首長の意見を汲み上げ、それを審査に反映させつつ、必要な環境保全措置を講じさせていくという環境影響評価法の趣旨を踏みにじるもので、制度の無効化に自ら手を染めていると言わざるを得ません。さらに、アセスメント制度一般を所管する環境省が、環境影響評価法の趣旨を踏みにじるこのような暴挙を見過ごすことは許されるものではありません。

 当会は、経済産業省による、首長意見の形成手続を蔑(ないがしろ)にした環境影響評価手続の進め方に強く抗議するとともに、顧問会の手続を即時に中断することを求めます。

 また、本準備書の審査に関わる、神戸市、芦屋市、兵庫県、環境省、経済産業省は、“事業者のスケジュール”を優先して手続を拙速に進めるのではなく、環境影響評価制度の趣旨に則り、知事意見、市長意見の形成手続を尊重した対応をとるよう強く求めます。    

 

以上

(参考)当会が現時点で把握している環境影響評価手続きの経緯

 

兵庫県 神戸市
 2018年1月22日 審査会において、神鋼データ改ざん事件を受けたアセスデータの県・市の共同検証、事業者の自主検証結果が報告される。    
1月24日     神鋼から検証結果の報告を受ける。(経産省・環境省)
1月29日     経産省の環境審査顧問会 火力部会を開催(経産省)
1月31日   神鋼が市に、自主検証結果のデータを修正する資料28を提出。  
2月1日   審査会において、自主検証結果の報告をするも、自主検証結果に追加の説明を要請される。  

【連絡先】神戸の石炭火力発電を考える会

HP:https://kobesekitan.jimdo.com/

Mail:kobesekitan@gmail.com

TEL:080-2349-0490

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