【声明】国と兵庫県の「温室効果ガス2050年ゼロ方針」を歓迎する ―2030年削減目標の更なる上積みと、脱石炭火力の推進を求める―

国と兵庫県の「温室効果ガス2050年ゼロ方針」を歓迎する

2030削減目標の更なる上積みと、脱石炭火力の推進を求める―

202011月18日

神戸の石炭火力発電を考える会

1. 温室効果ガス2050年ゼロ方針を歓迎する

菅総理大臣は、1026日の所信表明演説において、「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」ことを目指すと宣言し、従来の「石炭火力発電に対する政策を抜本的に転換」すると述べました。また、井戸兵庫県知事は、112日までに、兵庫県においても温室効果ガスの排出を2050年に実質ゼロとする方針を固めたと報道されています。私たちは、このような国と県の方針を歓迎します。しかし、県内には、石炭火力発電所が複数立地しています。2020年以降、新たに稼働を迎えるものもあり、石炭火力への対応が課題です。

2. 国と兵庫県の2030年目標は、大幅な上積みが必要

2050年排出ゼロを達成するためには、国(2013年比26%減)と県(2013年比26.5%減)、それぞれ、削減量を上積みすることが必要です。2013年を基準年として2050年に実質排出ゼロにするためには、単純計算では(毎年一律に削減すると仮定)2030年時点で、2013年比46%の削減が必要です。県は兵庫県地球温暖化対策推進計画を見直し、兵庫県知事は、県議会の答弁において、2030年目標として、2013年比35%~38%削減という数字を挙げていますが、十分ではありません。2030年目標として、2050年排出ゼロ目標の達成への道筋を示すための、可能な限り高い削減目標を設定することを求めます

3. 脱石炭火力が必要不可欠

国では、総合資源エネルギー調査会・石炭火力検討WGにおいて、非効率石炭火力の2030年フェードアウトに向けた制度設計の議論を行っています。兵庫県内にも、非効率石炭火力と分類される発電所(売電用)として、神鋼神戸発電所1-2号(合計140kW)、電源開発高砂火力発電所1-2号(合計50kW)が稼働しています。これら、非効率石炭火力は、2030年を待たずに速やかに廃止すべきです

神戸製鋼は、当会のみならず環境影響評価手続において、大気汚染、気候変動の影響を懸念し、多くの市民意見が建設中止を求めました。にもかかわらず、神戸市灘区において、石炭火力発電所(合計130kW)を建設しています。この発電所は、2050年を超えて稼働することを計画しています。

しかし、「温室効果ガス2050年ゼロ」を達成しようとする以上、この時期に、石炭火力発電所の新設を認めることは気候変動対策に大きな支障があるといわざるをえません[1]。また、仮に、非効率石炭火力発電所の9割が2030年までに廃止されたとしても、「高効率」石炭火力発電所が温存・新設されると、石炭火力の設備容量の2割削減にしかなりません [2]。旧式の発電所を早めにフェードアウトさせる一方で、新規の「高効率の」石炭火力の新増設の建設を容認するのでは、気候変動対策にならないどころか、石炭に依存する電源構造を長期にわたって固定化し、かえってCO2の排出を増加させる結果となります[3]石炭火力発電所の新設は、国及び県の「温室効果ガス2050年排出ゼロ」方針に反するものであり、建設を中止するべきです

当会は、原告・弁護団・サポーターと共に、訴訟の場でも、石炭火力発電所の稼働・建設の中止を求めていきます。

 

 


[1] 二酸化炭素貯留・回収(CCS)はコスト面からみても新設発電所に導入される見込みはありません。

[3] 当会の声明(https://kobesekitan.jimdo.com/press-release2020-7-6/)を参照。

 

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