【要請】兵庫県環境審議会に諮問されている「兵庫県地球温暖化対策推進計画(平成29年 3月策定)」の見直しにかかる削減目標やその削減方策等の設定等について(2020/12/04)

2020年12月4日

 

兵庫県環境審議会

会長 鈴木 胖 様

 

神戸の石炭火力発電を考える会

 

現在、兵庫県環境審議会に諮問されている「兵庫県地球温暖化対策推進計画(平成29年

3月策定)」の見直しにかかる削減目標やその削減方策等の設定等について(要請)

 

 貴審議会大気環境部会では、本年3月18日付け諮問第152号で兵庫県知事より貴職あて諮問された「『兵庫県地球温暖化対策推進計画(平成29年3月策定)』見直しの基本的事項について」検討されていますが、その審議内容をみると、現行計画で設定されている2030年度削減目標の数値の見直しが主テーマであるといえます。菅総理大臣が、10月26日の所信表明演説において、「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」ことを目指すと宣言し、従来の「石炭火力発電に対する政策を抜本的に転換」すると述べたこと、また、兵庫県知事が、兵庫県においても温室効果ガスの排出を2050年に実質ゼロとする方針を固めたと報道されたことを踏まえると、2030年削減目標の抜本的な見直しが求められるといえましょう。加えて国レベルの委員会等で政策の見直しの検討が始まっていることなどを考えると、兵庫県においても、他に先んじてでも従来の方針の見直しに着手すべきところ、本諮問時期と審議の開始時期となどを考慮したとしても、貴審議会の審議は近時の動向と全く整合しない内容の検討と言わざるを得ないと考えます。

 まず、見直しの基本的考え方において、2050年において温室効果ガスの排出の実質ゼロをめざすと明確にすべきです。そのうえで2050年排出ゼロを達成するためには、国(2013年比26%減)と県(2013年比26.5%減)、それぞれ、削減量をどのように上積みしていくかの検討が必要です。私どもの試算では2013年を基準年として2050年に実質排出ゼロにするためには、単純計算では(毎年一律に削減すると仮定)2030年時点で、2013年比46%の削減が必要と考えています。

 しかしながら、貴審議会での検討内容、また兵庫県知事による県議会の答弁においても2030年目標として、2013年比35%~38%削減という数字を挙げています。これは全く十分なものではありません。2030年目標を、2050年排出ゼロ目標の達成への道筋を示すための、中間ステップとして位置づけたうえでの検討が必要です。

 気候変動危機、コロナ危機の現在からみても2050年において温室効果ガス排出の実質ゼロ目標に実現に向けては、兵庫県のみならず、我が国全体においてもライフスタイル、大きな経済・社会システムの変革を伴うことが必須です。であるからこそ、削減目標の設定、また計画の見直しにあたっては、今後の温暖化対策について、県民各層(業種、世代など)との幅広い層を巻き込んだ共有、熟議を通じた県民の参加を伴う丁寧な合意形成が不可欠であると考えます。

 現在の計画見直し(低炭素から脱炭素へ)にあたっては、世界の温暖化対策の潮流と、それに追いつくべく、動き始めた国の温暖化対策の動きに機敏に反応し、兵庫県が他県を主導することを期待します。11月、国会において、衆参の両議院にて「気候非常事態」が宣言されました。まさに、非常事態に対応する策が必要です。現状の計画見直しをこれまでの延長線上の対策による積み上げで、拙速に行うのではなく、検討を一旦リセットし、改めて計画検討の手順、検討すべき内容等について、一から見直すことが必要と考え、次の要請をさせて頂きますので、是非にご高配賜りますようお願い申し上げます。

 

1.中間目標として2030年目標の設定のあり方について

(1)単なる削減数値の見直しの検討ではなく、計画策定のあり方、基本的な考え方から検討を進めること

(2)2050年において温室効果ガス排出の実質ゼロ目標を明確にすること。そのうえで「温室効果ガス排出の実質ゼロの社会」をイメージしつつ2030年目標を中間ステップとして位置づけること

(3)上記2点を踏まえ、拙速な議論を避け、今般の見直し検討を、現行計画一部改訂ではなく抜本的見直し(新たな計画の創設)と位置づけること

 

2.計画の策定、議論の進め方について

(1)見直しプロセスにおいて、閉鎖的な審議会における検討だけではなく、事前に広く県民、事業者の熟議プロセス(特に2030年、2050年など将来を担う若者の意見を反映させるための地域タウンミーティングなどの開催)と、その意見を計画に反映させること

(2)見直しの手法として、現状の施策積み上げによるフォアキャスティングではなく、目指すべき目標を見据えたバックキャスティングによる計画策定手法を採用し、革新的な対策を打ち出すこと

 

3.大規模排出事業所への対応について

(1)県下では、瀬戸内海沿岸に重厚長大産業ほか、多数の火力発電所が立地しており、県内排出の6割を占めていることから、脱炭素型の産業・経済構造への転換を県民、地域と共に検討すること

(2)兵庫県下は、石炭、石油、LNGなどの化石資源を燃料とする火力が多数立地している。とりわけ温室効果ガスの排出が多い石炭火力発電所の建設を神戸製鋼(神戸市)が進めている。現在、将来の環境を憂慮する県民の強い意思によって石炭火力発電所に対する、建設・稼働の差し止めを求める裁判等も提起されている。今後、長期にわたり温室効果ガスの排出を固定化する恐れがあることから、エネルギー政策の転換として、脱石炭、再生可能エネルギーの主力電源化に向けて県が主体的に取り組むこと

(要請文・全文)兵庫県環境審議会に諮問されている「兵庫県地球温暖化対策推進計画(平成29年 3月策定)」の見直しにかかる削減目標やその削減方策等の設定等について(2020/12/04)

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環境審議会検討見直し要請文(最終)_20201204.pdf
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