【声明】神戸製鋼所 新規石炭火力発電所 4号機火入れへ抗議 -神戸にある石炭火力発電所の早期廃止、稼働中止を求める-(2022/05/06)

2022/5/6

神戸の石炭火力発電を考える会

【声明】

神戸製鋼所 新規石炭火力発電所 4号機火入れへ抗議

-神戸にある石炭火力発電所の早期廃止、稼働中止を求める-

 

本日、当会は、神戸製鋼所が4月28日に、神戸線条工場内(神戸市灘区)において建設中であった新設石炭火力発電所(神戸発電所4号機)にて、火入れを行ったことを確認しました。これは、営業運転開始に向けた事実上の試運転開始に他なりません。

当会は、将来にわたって安定した気候のもとで暮らす権利を守るために、石炭火力発電所の建設・稼働差止を求める民事訴訟、建設を認めた国に対する行政訴訟の2つの裁判を提起した原告を支援しています。これら裁判の係争中に運転を強行する企業姿勢に強い憤りを感じます。そして、大気汚染、気候変動への影響を顧みず、新たな石炭火力発電所を稼働させた神戸製鋼所、ならびに発電された電力を買取り・販売する関西電力に対して抗議するとともに、2030年までのできるかぎり早期に石炭火力事業から撤退することを強く求めます。

 

国際社会はパリ協定、グラスゴー気候合意を受けて、気温上昇を2℃より低い1.5℃に抑える努力が必要との認識に立っています。気候変動対策を進めるうえで、とりわけ石炭火力発電に対する国際認識は、3-4号機が計画された2014年から大きく変化しています。当会をはじめ、深刻化する気候危機や大気汚染による健康影響を懸念する市民は、石炭火力発電を新たに計画した神戸製鋼所に対して、国際社会における気候危機回避の要請が高まる状況を踏まえ、計画の見直しを求めてきました。しかし、神戸製鋼所は石炭火力発電事業の拡大を強行しました。地球環境、地域環境を顧みず、環境影響を懸念する市民の声に応じなかったことに対して、怒りを禁じ得ません。

 

気候危機の回避に必要とされるのは、急速かつ大幅な温室効果ガスの排出削減です。そのためには、温室効果ガスの主要排出源となっている石炭からの脱却が必要とされています。折しも、報道によれば、今月下旬に予定されるG7(先進7カ国)のG7気候・環境大臣会合の共同声明案において、「各国内の石炭火力発電を2030年までに段階的に廃止する」文言が盛り込まれているとされています(朝日新聞2022年4月26記事等)。しかし、日本政府は、国内における石炭火力への依存度が高いことから、文言の削除を要求し、孤立しかねない状況にあると報じられています。今や本件石炭火力発電の問題は、立地地域である神戸の問題にとどまらず、気候危機の回避に向けて歩もうとする世界の取り組みに逆行するものとして、悪影響を及ぼしています。

 

今回の4号機が営業運転の開始に至ると、神戸市灘区に石炭火力発電所が4基稼働することになります。これらの設備からは、年間最大1,372万t-CO2の排出が見込まれます。日本における温室効果ガス排出量(年間)の約1.3%に相当する膨大な量です。また、石炭火力から排出される大気汚染物質は、神戸市における最大の固定発生源です。かつての大気汚染公害裁判の被告企業である神戸製鋼所、関西電力が、再び神戸の大気を汚すことは、公害地域の再生の取り組みに逆行する暴挙と言わざるを得ません。

 

今後も当会は、地域・地球環境に悪影響を与える石炭火力発電所に対し、2030年までの早期廃止を求め続けます。そして、地球環境を保全のために行動するあらゆる世代の市民、団体と連帯し、エネルギー政策の転換、環境問題の解決に尽力していきます。

以上

【連絡先】

神戸の石炭火力発電を考える会(TEL:080-2349-0490

 

メール kobesekitan@gmail.com


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