将来の神戸に石炭火力発電所は必要ですか?

ご存知でしたか?

兵庫県神戸市灘区で運転中の2基大型石炭火力発電所。

これに加えて、新たに2基の巨大な石炭火力発電所の建設が計画され4基になろうとしています。

 

神戸の石炭火力発電を考える会は、神戸製鋼の石炭火力発電所の新増設に伴う環境への影響を考えること等を目的とする、環境保護団体、環境政策・環境法等の研究者などからなるネットワーク組織です。

地域環境や地球環境の保全に関心がある全ての方々と協働するため、政治的中立性を維持しながら活動しています。

神戸の石炭火力発電所問題

神戸では、すでに大規模な石炭火力発電所が2基稼働中です。さらにそこに新たに2基の巨大な石炭火力発電所の建設が計画されています。本当に必要でしょうか?

最新設備だから大丈夫?

最新型設備で、環境影響の低減を図っている?石炭火力発電所は、最新型であっても大量の温室効果ガスを排出します。地球環境の将来を考えるうえでも、地域への環境影響を考える上でも、石炭火力は最悪の選択肢です。

あなたの健康が危ない

PM2.5は体の奥深く、血中に侵入し、ガン、心臓病、脳卒中のリスクを高めます。大気環境の悪化、ぜんそくなどの健康影響も心配されます。



動画で分かる石炭火力の問題点

石炭からクリーンエネルギーへ(アメリカ)

「日本では活況」ガラパゴス化する日本の石炭



活動報告、参加できるアクションについて




【要望書】市長・知事・環境大臣意見・経産大臣勧告に従い、直ちに、 事業の環境影響を住民に誠意をもって説明し、信頼回復の努力をせよ(2018/05/13)

2018年5月13日

株式会社神戸製鋼所

社長 山口 貢 様

 

【要望書】市長・知事・環境大臣意見・経産大臣勧告に従い、直ちに、

事業の環境影響を住民に誠意をもって説明し、信頼回復の努力をせよ

 

神戸の石炭火力発電を考える会

 

神戸製鋼が神戸市灘区に建設を予定している石炭火力発電所の新増設計画について、神戸市長意見(本年2月28日)・兵庫県知事意見(3月16日)・環境大臣意見(3月23日)・経済産業大臣勧告(4月4日)は、当該事業の環境影響について、地域住民等の関係者の理解・納得が得られるよう、誠意を持って丁寧かつ十分な説明を行うこと、正確な情報提供及び誠実な説明によって信頼性を回復することを求めている。しかし、神戸製鋼からは、これまで、具体的な対応策が示されていない。

 

①最悪の立地、最悪の発電方法

市長・知事・大臣意見、大臣勧告が指摘するように、そもそも本事業は、人口密集地であり、かつ、既存の製鉄所及び発電所が存在する地域を立地場所とし、環境改善が必要な地域において、敢えて環境負荷を増大させようとする事業である。

 

②不適切な環境影響評価手続

また、事業者の環境影響評価の手続に臨む姿勢についても、市長意見により「審査会にて本来準備書で記載されるべき資料の提出が求められたことや、公聴会で意見が公述されたように、準備書に係る事業者の情報提供の姿勢には問題がある」と厳しく指摘されていたところである。

 

③信頼性の失墜

昨年10月に神戸製鋼のデータ改ざん問題が発覚し、兵庫県及び神戸市が、アセスデータの検証作業を余儀なくされたことは記憶に新しい。また、最近、神戸製鋼は、既設発電所の1号機ボイラーにおいて環境保全協定値を超過するばいじんを排出していたことについて既に3月23日に把握していたにもかかわらず、4月13日まで事実の公表を怠っていたことが明らかとなった。この時期は、知事意見・環境大臣意見・経産大臣勧告、及び、公害調停の第1回調停期日と重なっており、意図的な情報隠しと言われても仕方がない。少なくとも住民の信頼を回復しようとする企業の姿勢とは、到底いえない。

 

④大規模な公害調停が進行中であること

石炭火力発電所の新増設によって生じる大気汚染などの環境負荷、大量の温室効果ガスの排出などを懸念する多くの住民が、神戸製鋼などを相手方に公害調停の申請をし、手続が進められている。これは、環境負荷は小さいとする事業者の説明について、理解・納得が得られていないことの証左であろう。

 

以上の点に鑑み、私たちは、この事業による環境影響を受ける多くの地域住民や、温暖化対策の観点から大規模石炭火力の増設を懸念する多くの市民を代表して、神戸製鋼に対し、市長・知事・大臣意見・大臣勧告に従い、事業の環境影響について、地域住民等の理解・納得が得られるよう、誠意を持って丁寧かつ十分な説明を行う場を設けること、正確な情報提供及び誠実な説明によって信頼性を回復するための措置を講ずることを求める。神戸製鋼は、このような措置を講じないまま、2018年5月11日に、環境影響評価書を経済産業大臣に届け出た。このような姿勢では、周辺住民等の信頼を得ることは到底できない。

 

地域住民の「理解・納得」(経産大臣勧告の表現)を得た後でなければ、環境影響評価書の手続及び電気事業法に基づく手続を進めることは許されない。これらの手続を即時、中断し、信頼回復のための措置をとるよう強く求める。

以上

 

 

神戸の石炭火力発電を考える会

住所:神戸市灘区山田町3-1-1(公財)神戸学生・青年センター内

TEL:080-2349-0490

Mail:kobesekitan@gmail.com

HP: https://kobesekitan.jimdo.com/


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【要望書】市長・知事・環境大臣意見・経産大臣勧告に従い、直ちに、 事業の環境影響を住民に誠意をもって説明し、信頼回復の努力をせよ
180513【要望書】市長・知事・環境大臣意見・経産大臣勧告に従い、直ちに、事業
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【緊急署名】灘浜の石炭火力発電による大気汚染を増やさないために 株式会社神戸製鋼所と環境保全協定を早急に改定することを神戸市へ求めます!

4月13日に公表された、神鋼・神戸発電所1号機における環境保全協定値超過などを受け、当会は神戸市に対して早急に環境保全協定の改定を求める緊急署名を行うこととしました。

これまで当会は、複数回にわたって神戸市当局へ、高炉廃止(現在)の状況を基本とした、環境保全協定を早急に結ぶように要請を行ってきました。しかし、新設発電所の稼働を前提とした交渉と「並行して議論」との見解が示されてきました。神鋼は、神戸市域における大気汚染物質の大規模固定発生源であり、神戸市当局の遅々とした対応を看過することはできません。神戸市長に対して、早急に環境保全協定を改定することを求め、緊急署名を実施することとしました。神戸市域にお住まいの方は、ぜひご参加を検討下さい。

神戸市長 久元 喜造様

 

【緊急署名】 灘浜の石炭火力発電による大気汚染を増やさないために

株式会社神戸製鋼所との環境保全協定を早急に改定することを神戸市へ求めます!

 

神戸の石炭火力発電を考える会

 

株式会社神戸製鋼所(以下、神鋼)は、神戸市灘区において140万kWの石炭火力発電所の運転を行っています。現在、さらに130万kWを増設する計画を進めています。

4月13日、神鋼と神戸市は、神戸発電所1号機のばいじん濃度が「環境保全協定」(神戸製鉄所と神戸市との間で締結した協定)で定めた協定値を超過していたと発表しました。しかし、両者が事態を把握したのは3月23日だったということですから、市民への公表が3週間遅れたことになります。おりしも3月23日は計画中の石炭火力発電所計画に対する環境大臣意見が公表された日でした。神鋼については、2006年に大気汚染データ改ざん問題、2017年10月にも製品検査データの改ざんなど、度重なる不正行為が社会問題となっており、社会的信頼回復へ向けた取り組みが強く求められています。それにもかかわらず、今なお市民に対して迅速に公表・説明しないのは、市民の健康・環境を守るために締結されている環境保全協定の運用のあり方が問われる、極めて重大な事態です。

神戸市は、市民一人ひとりになりかわって、神鋼と「環境保全協定」を結び、その実効性を担保する責務があると考えます。しかし、現在の協定値は、既に加古川へ移転した高炉設備の稼働を前提としたものであるため、私たちは高炉設備がないことを前提とした数値に直ちに改訂するよう求めてきました。あらためて環境保全協定を早急に改定することを求めるとともに、今回の超過公表遅れを踏まえ、改定の際には、以下の事項を反映させるようお願い致します。

 

要望事項

 

  1. 高炉廃止(現状)を前提とする環境保全協定の改定を早急に行うこと。検討に際しては、専門家委員会を設置し、「市民に公開された場」において議論すること。
  2. 発電所の稼働状況(汚染物質等の排出)を「常時確認」できるよう、WEBにて公開すること。
  3. 神鋼に石炭火力発電所の「新設計画の中断」を求め、市民に対して説明の場を設けさせること。   

【締切】2018年5月28日(月)必着

 

問合せ:神戸の石炭火力発電を考える会(080-2349-0490)

(送付先)神戸の石炭火力発電を考える会(https://kobesekitan.jimdo.com/)

〒657-0064神戸市灘区山田町3-1-1(公財)神戸学生・青年センター内 

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神戸市に環境保全協定の早期改定を求める署名用紙
環境保全協定の早期改定を求める署名用紙fin.pdf
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【セミナー】神戸に石炭火力は必要? 将来も安心で、健康に暮らせるまちに(2018/5/13)

 現在、(株)神戸製鋼所が140万kWの石炭火力発電所に加え、130万kWの発電所の建設計画を進めています。 PM2.5 などの環境基準を達成していない神戸市沿岸部に、新たに巨大な大気汚染物質、CO2排出源を建設するもので、小さな子どもや、ぜんそく患者の方々への健康影響なども心配されます。

 建設・稼働することで、2021年から30年間もの長期間、地球・地域環境へ大きな影響をもたらします。石炭火力発電は、地球温暖化対策に逆行するとして、世界的に大きな問題になっています。現在、約40基もの石炭火力発電の建設計画が進められている日本は、国際的に厳しい批判を受けています。そして、神戸にも石炭火力発電所が増設されようとしているのです。

 私たちは、発電所の建設計画見直しを求めて、地域の団体・学識者等が呼びかけ人となり環境や健康への影響を心配する地域の市民481名(2018年4月現在)と共に、神戸製鋼・子会社の株式会社コベルコパワー神戸(既設の発電所を所有)・関西電力を相手方として、兵庫県公害審査会に対して公害調停の申請を行い、事業者と話し合いを始めました。私たちは、将来にわたって神戸の環境が守られるよう、多くの方々と協力し問題発信を行っています。計画の問題点、これまでの活動経過について報告するとともに、みなさんと一緒に、神戸の将来にとって大きなこの問題を考えたいと思います。ぜひ、ご参加下さい。

 

【お申込み方法】 ※事前申し込みなしでもご参加いただけますが、ご協力いただけますと幸いです。

・次のWEBサイトからお申込みいただけます。

 【申し込みはこちらから】

 

・または、件名:「5/13学習会」として、

 kobesekitan@gmail.comまで、下記項目をお知らせ下さい。

 1. お名前・ふりがな  2. ご連絡先(メールアドレスなど)  3. ご所属(任意)

 4. ご質問・メッセージ(任意)

 

【抗議声明】(株)コベルコパワー神戸の神戸発電所1号機に係る環境保全協定値超過について、 神戸製鋼、神戸市が即時に市民に公表しなかったこと、及び 協定に基づく指導・措置の内容を明らかにしていないことについて(2018/04/13)

2018年4月13日

神戸市長 久元 喜造 様

神戸製鋼所 社長 山口 貢 様 

神戸の石炭火力発電を考える会

 

(株)コベルコパワー神戸の神戸発電所1号機に係る環境保全協定値超過について、

神戸製鋼、神戸市が即時に市民に公表しなかったこと、及び

協定に基づく指導・措置の内容を明らかにしていないことについて(抗議)

 

 本日、神戸製鋼所は(株)コベルコパワー神戸 神戸発電所1号機ボイラーにおいて、環境保全協定値超過に伴う発電機の停止について、自社のWEBサイトでその事実を公表しましたが、3月26日に神戸市に報告書(速報版)を提出、本日最終報告書を提出していたことが明らかになった。

 しかしながら、神戸市にあっては、これまでこの事実に対して、環境保全協定書第18条第1項において、常時監視の結果について情報の公開をすると規定しているにもかかわらず、今回、ばいじん濃度の協定値超過(測定値:0.011g/㎥N 協定値:0.01g/㎥N 覚書による運転管理目標濃度:0.005g/㎥N)という事象について、市民への公表が遅れたことは極めて遺憾であり、厳重に抗議をする。

 また、一連の対応において、神戸製鋼所とどのようなやりとりのなかで、このような状況に立ち至ったのか明らかにしないことは、神戸市の環境保全行政の責務と役割を放棄したものと言わざるを得ない。この間(3月23日から4月13日)は、神戸製鉄所石炭火力発電所増設にかかる準備書(以下「準備書」という)に対する、兵庫県知事意見、環境大臣意見、経済産業大臣勧告の一連の時期と、併せて公害調停第一回調停期日とも重っており、「ばいじん濃度の協定値超過」で発電機を止めたことが明らかになれば、市民の批判が神戸製鋼所に向かうのは必至のため、神戸市は神戸製鋼所に忖度し、この事実及び公表の経過を隠蔽したとの疑念を想起させるまことに不可解きわまる行動である。また神戸製鋼の市民を軽視する姿勢は、これまでの不正隠蔽体質となんら変わらないものである。

 神戸市は、準備書に対する意見書(2月28日付け)において、製品データ改ざん問題を受けて信用が失墜したことから、「今後は正確な情報提供及び、誠実な説明によって信頼性の回復に努める必要がある。」とした上で、「特に,大気汚染物質については,本市との間で締結している環境保全協定で現在定めている事業場全体からの年間総排出量の協定値を超過させないことは当然として,将来の排出量を極力低減させるよう,良質な燃料の確保に努めるとともに,排煙処理設備の適切な維持管理を実施する必要がある。」と厳しく指摘してきた。それにもかかわらず、今回の事象に対しては、神戸製鋼所の信頼回復、適切な維持管理の実施に逆行しているだけでなく、神戸市自身が加担している状況である。

 こうした、神戸市、神戸製鋼所の姿勢は、両者がこれまで「極めて厳しい」と称してきた環境保全協定が、この程度の運用に終始していることの証拠となるものである。このたびの石炭火力発電所増設計画において、地域における環境保全対策を何ら担保するものがないことを明らかにするものであり、環境悪化を懸念する地元住民の意見、要請を無視したもので全く許容することはできない。

 まず、神戸市ならびに神戸製鋼所は、今回の事案について速やかに市民へ公表しなかったことの理由及び協定に基づく指導・措置についてその経過を直ちに明らかにするよう強く要求する。

 

以上。

 

神戸の石炭火力発電を考える会

住所:神戸市灘区山田町3-1-1(公財)神戸学生・青年センター内

TEL:080-2349-0490

Mail:kobesekitan@gmail.com

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環境保全協定超過の公表に対する声明(2018/04/13)
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【声明】環境省「電気事業分野における地球温暖化対策の進捗状況の評価結果」及び 神戸製鋼の石炭火力発電所設置計画に対する環境大臣意見について(2018/4/04)

4月3日付で発表した声明で述べた通り、環境大臣意見はとりわけ温暖化対策の観点から石炭火力発電所を増設することは事実上困難である(できない)ことを示したものであるが、環境行政の責任官庁としての役割を果たしたというには極めて不十分な内容であったので、計画の現場で生活する市民の立場から抗議を送るものである。

【声明】

2018年4月4日

 

環境省「電気事業分野における地球温暖化対策の進捗状況の評価結果」及び

神戸製鋼の石炭火力発電所設置計画に対する環境大臣意見について

 

環境省の対応は、なお極めて不十分―温暖化対策・地域環境保全のための責任を果たせ!

 

神戸の石炭火力発電を考える会 

 環境大臣は、3月23日、神戸製鋼が神戸市灘区において建設を計画している石炭火力発電所(神戸製鉄所火力発電所(仮称)設置計画)にかかる環境影響評価準備書に対する環境大臣意見(以下、「大臣意見」という)とともに、「電気事業分野における地球温暖化対策の進捗状況の評価結果」(以下、「電力レビュー」という。)を公表しました。電力レビューにおいては、石炭火力の新増設計画に歯止めがかからず、2030年目標達成が困難になっていることが改めて指摘されています。同日に公表された大臣意見も、全体としては、神戸製鋼の計画に反対する姿勢を示したものと解されます。神戸製鋼は、石炭火力発電所の建設計画を中止すべきです(当会の3月27日付け声明参照)。

 もっとも、大臣意見の内容は、環境影響評価手続において、1173件もの市民意見や当会などが求めてきた審査内容に照らすと、極めて不十分であり、環境行政の責任官庁としての役割を果たしたというには程遠い内容です。以下の点について、私たちは、温暖化対策を求める市民、地域環境の悪化を懸念する市民と共に、強い遺憾の意を表明します。

 

1. 温暖化対策について

(1)電力レビューの背景

 東日本大震災後、電力需給のひっ迫、電力システム改革による競争の激化等を背景として、安価かつ大規模な電力の供給源として、全国で石炭火力発電所の新増設の計画が進んでいます。石炭火力は、天然ガス火力の2倍以上のCO2を排出することから、温暖化対策の観点から歯止めをかける必要があります。

 2030年の温暖化対策目標・長期エネルギー需給見通しと整合するCO2の排出係数0.37kg-CO2/kWhを達成するための取組みとして、電力業界は、2015年7月に電気事業分野の「自主的枠組みの概要」と「電気事業における低炭素社会実行計画」を公表しました。しかし、環境大臣は、5つの石炭火力発電所の新増設計画にかかる環境影響評価手続における環境大臣意見の中で、自主的枠組みの目標を如何にして達成するのかという実効性の点に疑問を呈し、新増設計画は「現段階において、是認することはできない」と述べました。これに対処するため、電力業界は、「低炭素社会実行計画」の目標達成に向けた取組みを進めるため「電力事業低炭素社会協議会」を立ち上げ、また、環境省と経産省は、電力業界の自主的枠組みの取組みの実効性を確保するための政策的対応として、省エネ法・エネルギー供給構造高度化法に基づく基準を設定するなどの措置をとることに合意しました(2016年2月9日。以下、「両大臣合意」という)。

 この両大臣合意以降、石炭火力発電所の新増設計画にかかる環境影響評価手続における環境大臣意見においては、事業者に対して、省エネ法に基づくベンチマークの達成や、高度化法に基づく基準の遵守等を求めています。両大臣合意以降、「是認できない」という意見は、出されていません。

 

(2)電力レビューの内容

 両大臣合意以降、環境省は、2030年度の温暖化対策目標・長期エネルギー需給見通しと整合するCO2の排出係数0.37kg-CO2/kWhという目標の達成に向けて、電力事業者の取組みが実効的に進められているか、毎年度進捗状況を評価しています。これが、電力レビューであり、3月23日に公表された平成29年度の電力レビューの内容(抜粋)は以下のとおりです。  

 

【進捗状況の評価等】

・「石炭火力発電について、現時点で計画されている新設・増設計画が全て実行されると、2030年度目標の達成は困難」(控えめに見積もっても、石炭火力発電からのCO2排出量は、2030年度の削減目標よりも6800万トン程度超過する)。

・「電力業界の自主的枠組である「電気事業低炭素社会協議会」は、今年度初めて、会員企業の取組状況の評価を実施。この評価は、1年間の取組を各社が自らチェックしたことを協議会として確認したもの。定量的な目標設定を始め、具体的な評価基準を明確にしなければ、自主的枠組みの実効性には疑問」(「協議会が業界全体の目標達成に向かっているかを評価する、という意味でのPDCAサイクルになっているとは必ずしも言えない」)。

 

【総括】

・「平成28年2月合意から2年が経過し、様々な状況の変化や新たな動きがある中、枠組みへの懸念や課題が顕在化」。

・「切迫感を持って今後の取組の進捗を注視しつつ、今後、進捗が見られない場合に目標の達成が困難になることのないよう、施策の見直しを含めて検討すべき」。

このように、電力業界の自主的枠組み、それを支える省エネ法・高度化法の基準は、国の2030年の温暖化対策目標・長期エネルギー需給見通しが想定する電源構成と比較して、著しく過剰な石炭火力発電所の建設計画に対する歯止めとして全く機能していない、というのが、この電力レビューの評価にほかなりません。

 

(3)本件大臣意見の内容と問題点

・2030年温暖化対策目標を達成するための取組みに実効性がない以上、端的に「是認できない」と指摘すべき

 本件計画に対する環境大臣意見は、電力レビューと同様に、①世界各国で、石炭火力発電所からの投資の引き上げ(ダイベストメント)の動きが揺るぎないものとなっている、②他方で、国際機関の報告書において、日本は石炭火力の新増設計画が集中している国として挙げられている、③日本の石炭火力発電所全体からのCO2排出量は、2030年目標達成のための想定排出量を現在すでに大幅に上回っていると指摘しています。そして、日本の石炭火力新増設計画が全て実現した場合には、2030年における設備利用率を54%以下としなければならず、神戸製鋼の計画は「環境保全面から極めて高い事業リスクを伴う」と評価しています。大臣意見は、「2030年度及びそれ以降に向けた本事業に係るCO2排出削減の取組みへの対応の道筋が描けない場合には事業実施を再検討することを含め、事業の実施についてあらゆる選択肢を勘案して検討する」ことを求めています。

 2015年、当時の石炭火力建設計画に対して出された環境大臣意見では、温暖化対策目標達成のための取組みが実効性を欠いていることを理由に、石炭火力の建設計画は「是認できない」と述べられていました。今回本件意見書と同日に発表された電力レビューにおいては、上述したように、温暖化対策目標を達成するための自主的枠組みを中心とする仕組みが現在も機能していない、ということを明確に指摘されています。今、まさに2015年と同様の状況にあり、環境大臣は、本件計画について、温暖化対策の観点から「是認できない」と端的に述べるべきでした。それにもかかわらず、2015年当時の環境省のように明解な意見表明を行わなかったことは、無責任であり、極めて遺憾です[1]。

 

・省エネ法のベンチマーク指標等を充たせばよいわけではない

環境大臣意見は、「とりわけ、2030年度のベンチマーク指標の目標との関係では、具体的な道筋が示されないまま容認されるべきものではなく、目標達成に向けた具体的な方策、行程の確立及びCO2排出削減に向けた不断の努力が必要不可欠である」との指摘をしています。「容認されるべきものではなく」などと述べていますが、神戸製鋼は、栃木県真岡に天然ガス火力発電所を建設中であり、大臣意見も認めるとおり、ベンチマーク指標の達成が見込まれる状況です。ベンチマーク指標への言及は、本事業に対して、温暖化対策の観点から何ら追加的な注文を付けるものではありません。

そもそも、省エネ法のベンチマークは法令に基づく基準であり、達成するのはいわば当たり前のことです。環境影響評価法は、かつての閣議アセスのように、たんに行政上の基準に合致するかどうかの○×式のチェックを行うものではなく、公衆の関与を含めた第三者の参画のもとで、環境悪化の防止のためのより良い決定を行う手段へと性格を変えたと解されています[2]。敢えて「最悪の燃料」、「最悪の立地」を選んで火力発電所を設置しようとする暴挙に対して、本件の環境影響評価手続において、環境大臣が「環境保全の見地から、是認できない」と言えないのなら、環境影響評価制度の存在意義はどこにあるのでしょうか。

 

 環境大臣意見の「各論(1)温室効果ガス」の項目は、①「BATの参考表」(B)と合致していること、②ベンチマーク指標の遵守、③自主的枠組み参加企業である関電に全量売却すること、④CO2排出総量の年度ごとの把握(以上は、いずれも予定されている事柄)、⑤(事業者が行うはずのない)CCSの導入検討、⑥温暖化対策のための適切な範囲での必要な措置、を事業者に求めているだけです。電力レビューにおいて(一般論としては)強い危機感を表明している環境省が、肝心の具体的な建設計画に直面した際に、石炭火力発電に歯止めをかける強い意思をもっているのか、疑わせるような内容といわざるをえません。

 

・本計画の本質は、「逆リプレース」と、「再エネ拡大の成果の横取り」

 神戸製鋼が神戸市に提出した資料(右図)からわかることは、本計画により、あろうことか、関西電力が保有する石油・LNG火力から、環境負荷が高く、CO2排出量も多い「石炭火力へのリプレース」が行われようとしている、ということです。世界が協調して脱炭素に向かおうとしている中、そのような温暖化対策に逆行するリプレースは容認できません。

 また、事業者は、本計画(石炭へのリプレース)によって増加するCO2排出は、消費者負担による再生可能エネルギーの普及によって相殺されると主張していますが、そのような強弁は、論理的に破たんしているばかりか、当該企業の企業倫理が疑われるような言明といわざるをえません。

 

 

第161回 神戸市環境影響評価審査会 資料18
第161回 神戸市環境影響評価審査会 資料18

 この点、準備書に対する兵庫県知事意見が、(石炭火力の中で、ではなく)「採用可能な最も高効率で二酸化炭素排出量の少ない発電施設を導入し」、「二酸化炭素総排出量を施設の供用によって増加させないこと」を求めていることは、極めて重要です。石炭火力発電所は、天然ガス火力と比べて、大量の大気汚染物質を排出するだけでなく、効率も著しく劣り、CO2排出量も2倍以上になります。片や130万kWの石炭火力発電所を作り、片や関西電力管内の天然ガス火力発電所の稼働を抑制したのでは、「二酸化炭素総排出量を施設の供用によって増加させない」ことが不可能であることは明らかです。知事意見が求めるようにCO2排出を増加させないためには、低効率でCO2の排出原単位が天然ガス火力の2倍以上となる石炭火力発電所を建設することはできないはずです。

 温暖化対策についてより大きな責任を負っている環境省は、大臣意見として、より明確に石炭を燃料とする火力発電所の建設は容認できない、と述べるべきでした。

 

2. 大気環境について

 大臣意見は、大気環境に関し、「本事業の対象事業実施区域及びその周辺は、〔自動車NOx・PM法〕に基づく対策地域とされている。また、同区域の周辺は過去に深刻な大気汚染による健康被害が発生し、現状においても大気の汚染に係る環境基準の一部を達成していない地点が存在するなど、大気環境の改善が必要な地域である」と指摘しています。そのうえで、「本事業は、人口密集地であり、かつ、既存の製鉄所及び発電所が存在する地域において、環境負荷を増大させる事業である」、「対象事業実施区域の周辺には、学校、病院その他の環境の保全についての配慮が特に必要な施設や多数の住居が存在する」と述べています。

 発電所の建設予定地は、PM2.5や光化学オキシダントの環境基準を達成していません。また、付近の地域では、恒常的に、なおNO2の環境基準0.04ppm~0.06ppmのゾーン内(現状からの非悪化が求められている地域)にあり、大気汚染公害の認定患者の方々も居住しています。このような地域に新たな大規模汚染源を追加することは、認められません。環境大臣意見は、知事意見と比較しても、この点にかかる指摘が極めて不十分です。

 この地域は、かつての深刻な大気汚染公害からの環境改善の途上にあります。自動車NOx・PM法や、兵庫県のPM規制の対象地域に大規模な大気汚染源を新設することは、自動車排ガス対策等により長年の努力で積み上げてきた公害対策の成果を、否定するものです。

 

以上のように、本計画は、住宅地から至近の、しかも、現状非悪化が求められている「最悪の立地」で行うものです。また、大気汚染・温暖化対策の観点から「最悪の燃料」を用いるものです。大臣意見においては、より明確に、 “ここには石炭を燃料とする発電所の立地は認められない”と述べるべきでした。

 

3. 環境大臣意見は、その他の点でも不十分

 大臣意見は、その他にも不十分な点が多々あります。

知事意見では、人口と産業が密集する地域であり閉鎖水域に面した神戸南部の地域環境管理の観点から、たとえば、排ガス中のSOx、NOx、ばいじん、水銀その他の重金属の総排出量を評価書に記載することなども求めていますが、大臣意見には、そのような記述が見当たりません。知事意見では、水俣条約を踏まえ、環境中への水銀の排出を最大限抑制することを求めていますが、大臣意見では、この点に関する記述が極めて淡泊です。

 水環境への影響については、当会は、神戸市・兵庫県に対する追加・補足要請書(2016年8月24日付)において、2016年に「水質汚濁に係る生活環境の保全に関する環境基準」が見直され(H28年3月30日告示)、底層DOの環境基準が設定されたこと、及び、準備書のデータによれば周辺海域の多くの地点で環境基準が守れない貧酸素状態になっていることを指摘しました。このような海域において新たな温排水の大規模排出源を建設し、酸素供給をさらに悪化させることは認められません。しかし、環境大臣意見においては、この点についての問題意識も希薄です。

 また、環境大臣意見は、昨年8月20日の神戸市主催の公聴会では、39名の公述人の全員が計画に反対したこと、兵庫県主催の公聴会(本年2月3日)においても、13名中、12名の公述人が本計画及び準備書が抱える問題点を指摘し、環境保全の見地から本計画に反対の意思を表明したこと、準備書に対し1173件もの市民意見の大部分が本計画に対する反対・懸念を表明していることを重く受け止めているようには思えません。

 大臣意見では「地域住民等の関係者の理解・納得が得られるよう、誠意をもって丁寧かつ十分な説明を行うこと」を事業者に求めています。しかし、侮るなかれ、地域住民は、本計画の内容とその問題点を既に十分「理解」しています。前述したように、「最悪の立地」、「最悪の発電方法」で行う本計画に「納得」することができるはずはありません。事業者がすべきことは、「誠意をもって丁寧かつ十分な説明を行うこと」ではなく、本計画の環境保全上の問題を理解して石炭火力発電所の建設を中止するという理性的な決断をすることです。

 

4. 結び―いつまで微温的対応を続けるのか―

 電力レビューに記載されているように、両大臣合意の後、環境大臣意見は、石炭火力発電所の新増設計画に対し、自主的枠組みに基づく取組みを行うよう求めることに終始し、2030年目標の達成を不可能にするような多くの新増設計画に対し、事実上、何の歯止めをかけることもできていません。昨年8月の武豊火力発電所(中部電力)、本年1月の三隅石炭火力発電所(中国電力)の準備書に対する環境大臣意見でも、本計画に対する環境大臣意見でも、どこか他人事のように、世界は脱石炭へと向かっていることを長々と述べる一方、具体的な石炭火力発電所の新増設計画については、実際上、何の歯止めをかけることもしていません。

 両大臣合意以前の環境大臣意見においては、2030年目標達成のための取組みの実効性が担保されていないことを理由に、石炭火力の新増設は「是認できない」と述べられてきました。電力レビューが指摘するように、現在、まさに同じ状況にあります。それにもかかわらず、環境省は、実効性に重大な疑念がある自主的枠組みや両大臣合意に手足を縛られて微温的な対応を繰り返し、2015年当時のような責任ある意見表明を行うことを怠っています。これでは、2030年の温暖化対策目標の達成に責任を負う環境行政の長として、無責任の誹りを免れません。

 特に、本件計画は、最悪の立地、最悪の発電方法、信頼性を欠く事業者[3]によって行われるものであり、本件事業を止められなければ、他にどんな事業を止められるでしょうか。石炭火力発電所の新増設計画に歯止めがかからない現状は、環境省の微温的かつ責任感を欠く対応にも原因があると認識すべきです。

 

 

以上。


[1] 環境大臣意見は、また、「2030年度及びそれ以降に向けた本事業に係るCO2排出削減の取組みへの対応の道筋が描けない場合には事業実施を再検討すること」などと述べていますが、本件計画が石炭を燃料とする火力発電所であり、事業者にはCCS設備を導入するつもりもないことからすると、「2030年度及びそれ以降に向けた本事業に係るCO2排出削減の取組みへの対応の道筋」など、あろうはずがありません。にもかかわらず、環境大臣は、なぜ端的に、本事業は「是認できない」と述べないのでしょうか。

[2] 大塚直『環境法 第3版』(有斐閣・2010年)272頁以下などを参照。

[3] 2017年10月13日の記者会見において、川崎社長(当時)自身が「神戸製鋼の信頼度はゼロに落ちた」と発言していました。

 

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