ご存知でしたか?
兵庫県神戸市灘区で運転中の2基の大型石炭火力発電所。
これに加えて、新たに2基の巨大な石炭火力発電所の建設が計画され4基になろうとしています。
大型石炭火力発電所からは、大量のCO2(約690万トン)だけでなく、大気汚染物質が排出されます。
神戸に建てられようとしている石炭火力発電所は、地球環境にも地域環境にも大きな影響があるのです。
神戸では、すでに大規模な石炭火力発電所が2基稼働中です。さらにそこに新たに2基の巨大な石炭火力発電所の建設が計画されています。本当に必要でしょうか?
石炭火力発電所は、たとえ最新型であっても大量のCO2や汚染物質を排出します。将来の地球環境、地域への環境影響を考える上でも、石炭火力は最悪の選択肢です。
PM2.5は体の奥深く、血中に侵入し、ガン、心臓病、脳卒中のリスクを高めます。大気環境の悪化、ぜんそくなどの健康影響も心配されます。
JAPAN BEYOND COAL
日本の石炭火力発電所を2030年にゼロにしよう
兵庫県では、2020 年9 月に、「2050 年に二酸化炭素排出実質ゼロを目指す。」と表明しました。そのために、新しい地球温暖化対策計画の検討が進められ、計画案が示されました。計画では、排出ゼロを実現するために、「2030 年の温室効果ガス削減目標の引き上げ」と「再生可能エネルギー導入目標の強化」に取り組むとしています。
現在、この新しい計画について、県民から意見・提案を募集するためのパブリックコメント(県民意見)の募集が行われています。意見を提出することは、政策決定過程への市民参加の一つの方法です。たくさんの意見が提出されることで、多くの県民が地球温暖化対策に注目していることを示しましょう。
皆様が意見を作成にあたって留意すべきポイントを当会として整理しました。
メニューボタンから、ダウンロード、印刷もできます。ぜひ、ご活用ください。
【提出方法】
電子メール、FAX、郵送で受け付けられています。
2020年12月4日
兵庫県環境審議会
会長 鈴木 胖 様
神戸の石炭火力発電を考える会
現在、兵庫県環境審議会に諮問されている「兵庫県地球温暖化対策推進計画(平成29年
3月策定)」の見直しにかかる削減目標やその削減方策等の設定等について(要請)
貴審議会大気環境部会では、本年3月18日付け諮問第152号で兵庫県知事より貴職あて諮問された「『兵庫県地球温暖化対策推進計画(平成29年3月策定)』見直しの基本的事項について」検討されていますが、その審議内容をみると、現行計画で設定されている2030年度削減目標の数値の見直しが主テーマであるといえます。菅総理大臣が、10月26日の所信表明演説において、「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」ことを目指すと宣言し、従来の「石炭火力発電に対する政策を抜本的に転換」すると述べたこと、また、兵庫県知事が、兵庫県においても温室効果ガスの排出を2050年に実質ゼロとする方針を固めたと報道されたことを踏まえると、2030年削減目標の抜本的な見直しが求められるといえましょう。加えて国レベルの委員会等で政策の見直しの検討が始まっていることなどを考えると、兵庫県においても、他に先んじてでも従来の方針の見直しに着手すべきところ、本諮問時期と審議の開始時期となどを考慮したとしても、貴審議会の審議は近時の動向と全く整合しない内容の検討と言わざるを得ないと考えます。
まず、見直しの基本的考え方において、2050年において温室効果ガスの排出の実質ゼロをめざすと明確にすべきです。そのうえで2050年排出ゼロを達成するためには、国(2013年比26%減)と県(2013年比26.5%減)、それぞれ、削減量をどのように上積みしていくかの検討が必要です。私どもの試算では2013年を基準年として2050年に実質排出ゼロにするためには、単純計算では(毎年一律に削減すると仮定)2030年時点で、2013年比46%の削減が必要と考えています。
しかしながら、貴審議会での検討内容、また兵庫県知事による県議会の答弁においても2030年目標として、2013年比35%~38%削減という数字を挙げています。これは全く十分なものではありません。2030年目標を、2050年排出ゼロ目標の達成への道筋を示すための、中間ステップとして位置づけたうえでの検討が必要です。
気候変動危機、コロナ危機の現在からみても2050年において温室効果ガス排出の実質ゼロ目標に実現に向けては、兵庫県のみならず、我が国全体においてもライフスタイル、大きな経済・社会システムの変革を伴うことが必須です。であるからこそ、削減目標の設定、また計画の見直しにあたっては、今後の温暖化対策について、県民各層(業種、世代など)との幅広い層を巻き込んだ共有、熟議を通じた県民の参加を伴う丁寧な合意形成が不可欠であると考えます。
現在の計画見直し(低炭素から脱炭素へ)にあたっては、世界の温暖化対策の潮流と、それに追いつくべく、動き始めた国の温暖化対策の動きに機敏に反応し、兵庫県が他県を主導することを期待します。11月、国会において、衆参の両議院にて「気候非常事態」が宣言されました。まさに、非常事態に対応する策が必要です。現状の計画見直しをこれまでの延長線上の対策による積み上げで、拙速に行うのではなく、検討を一旦リセットし、改めて計画検討の手順、検討すべき内容等について、一から見直すことが必要と考え、次の要請をさせて頂きますので、是非にご高配賜りますようお願い申し上げます。
記
1.中間目標として2030年目標の設定のあり方について
(1)単なる削減数値の見直しの検討ではなく、計画策定のあり方、基本的な考え方から検討を進めること
(2)2050年において温室効果ガス排出の実質ゼロ目標を明確にすること。そのうえで「温室効果ガス排出の実質ゼロの社会」をイメージしつつ2030年目標を中間ステップとして位置づけること
(3)上記2点を踏まえ、拙速な議論を避け、今般の見直し検討を、現行計画一部改訂ではなく抜本的見直し(新たな計画の創設)と位置づけること
2.計画の策定、議論の進め方について
(1)見直しプロセスにおいて、閉鎖的な審議会における検討だけではなく、事前に広く県民、事業者の熟議プロセス(特に2030年、2050年など将来を担う若者の意見を反映させるための地域タウンミーティングなどの開催)と、その意見を計画に反映させること
(2)見直しの手法として、現状の施策積み上げによるフォアキャスティングではなく、目指すべき目標を見据えたバックキャスティングによる計画策定手法を採用し、革新的な対策を打ち出すこと
3.大規模排出事業所への対応について
(1)県下では、瀬戸内海沿岸に重厚長大産業ほか、多数の火力発電所が立地しており、県内排出の6割を占めていることから、脱炭素型の産業・経済構造への転換を県民、地域と共に検討すること
(2)兵庫県下は、石炭、石油、LNGなどの化石資源を燃料とする火力が多数立地している。とりわけ温室効果ガスの排出が多い石炭火力発電所の建設を神戸製鋼(神戸市)が進めている。現在、将来の環境を憂慮する県民の強い意思によって石炭火力発電所に対する、建設・稼働の差し止めを求める裁判等も提起されている。今後、長期にわたり温室効果ガスの排出を固定化する恐れがあることから、エネルギー政策の転換として、脱石炭、再生可能エネルギーの主力電源化に向けて県が主体的に取り組むこと
参考
兵庫県、温室ガス2050年ゼロ 計画前倒し 再生エネ、EV後押し (2020/11/03・神戸新聞)
国と兵庫県の「温室効果ガス2050年ゼロ方針」を歓迎する
―2030年削減目標の更なる上積みと、脱石炭火力の推進を求める―
2020年11月18日
神戸の石炭火力発電を考える会
1. 温室効果ガス2050年ゼロ方針を歓迎する
菅総理大臣は、10月26日の所信表明演説において、「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」ことを目指すと宣言し、従来の「石炭火力発電に対する政策を抜本的に転換」すると述べました。また、井戸兵庫県知事は、11月2日までに、兵庫県においても温室効果ガスの排出を2050年に実質ゼロとする方針を固めたと報道されています。私たちは、このような国と県の方針を歓迎します。しかし、県内には、石炭火力発電所が複数立地しています。2020年以降、新たに稼働を迎えるものもあり、石炭火力への対応が課題です。
2. 国と兵庫県の2030年目標は、大幅な上積みが必要
2050年排出ゼロを達成するためには、国(2013年比26%減)と県(2013年比26.5%減)、それぞれ、削減量を上積みすることが必要です。2013年を基準年として2050年に実質排出ゼロにするためには、単純計算では(毎年一律に削減すると仮定)2030年時点で、2013年比46%の削減が必要です。県は兵庫県地球温暖化対策推進計画を見直し、兵庫県知事は、県議会の答弁において、2030年目標として、2013年比35%~38%削減という数字を挙げていますが、十分ではありません。2030年目標として、2050年排出ゼロ目標の達成への道筋を示すための、可能な限り高い削減目標を設定することを求めます。
3. 脱石炭火力が必要不可欠
国では、総合資源エネルギー調査会・石炭火力検討WGにおいて、非効率石炭火力の2030年フェードアウトに向けた制度設計の議論を行っています。兵庫県内にも、非効率石炭火力と分類される発電所(売電用)として、神鋼神戸発電所1-2号(合計140万kW)、電源開発高砂火力発電所1-2号(合計50万kW)が稼働しています。これら、非効率石炭火力は、2030年を待たずに速やかに廃止すべきです。
神戸製鋼は、当会のみならず環境影響評価手続において、大気汚染、気候変動の影響を懸念し、多くの市民意見が建設中止を求めました。にもかかわらず、神戸市灘区において、石炭火力発電所(合計130万kW)を建設しています。この発電所は、2050年を超えて稼働することを計画しています。
しかし、「温室効果ガス2050年ゼロ」を達成しようとする以上、この時期に、石炭火力発電所の新設を認めることは気候変動対策に大きな支障があるといわざるをえません[1]。また、仮に、非効率石炭火力発電所の9割が2030年までに廃止されたとしても、「高効率」石炭火力発電所が温存・新設されると、石炭火力の設備容量の2割削減にしかなりません [2]。旧式の発電所を早めにフェードアウトさせる一方で、新規の「高効率の」石炭火力の新増設の建設を容認するのでは、気候変動対策にならないどころか、石炭に依存する電源構造を長期にわたって固定化し、かえってCO2の排出を増加させる結果となります[3]。石炭火力発電所の新設は、国及び県の「温室効果ガス2050年排出ゼロ」方針に反するものであり、建設を中止するべきです。
当会は、原告・弁護団・サポーターと共に、訴訟の場でも、石炭火力発電所の稼働・建設の中止を求めていきます。
[1] 二酸化炭素貯留・回収(CCS)はコスト面からみても新設発電所に導入される見込みはありません。
[3] 当会の声明(https://kobesekitan.jimdo.com/press-release2020-7-6/)を参照。
近年の相次ぐ豪雨、猛暑、大型台風により各地で大きな被害が出ています。その背景に、地球温暖化の深刻化が指摘されており、影響が長期にわたる可能性があります。温暖化のない地球を取り戻すには、今後10年間の取り組みが重要です。今、世界の流れは、化石燃料の中で、最も多くのCO2を排出する石炭火力を廃止する、脱石炭・脱炭素化社会に向けた政策が進められています。近隣の住民への大気汚染物質による健康影響も懸念されるなか、日本で新たな石炭火力発電の建設計画が進められているのは、なぜなのでしょうか。今回の講座では、京阪神における公害問題から、石炭火力問題を解決するために、私たちに何ができるかについて学び、考えていきます。
<第1回 10/19 18:30-20:00>
テーマ:石炭火力発電から何が出てくる
石炭火力発電は、どんな環境への影響をもたらすのでしょうか。
これまでの公害問題を見てきた専門家からの話を受けて、
地球環境、地域にどのような影響があるのかについて考えます。
キーワード:大気汚染公害、エネルギー基本計画、地球温暖化
講師:西川榮一(神戸商船大学名誉教授)【資料】
島村健(神戸大学教授) 【資料】
多数のお申込みをいただき、ありがとうございました!